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年齢で髪が切れやすくなるのはなぜ?50代の髪の強度の最新研究を毛髪診断士が解説

2026.10.20

年齢とともに髪が切れやすくなり、ハリ・コシがなくなるのは、傷みだけでなく新しく生えてくる髪そのものが変わることが一因と考えられています。2026年9月、アモーレパシフィックは、50歳以上の人の新しく生えた髪は20〜40代に比べて、髪の強さを支える結合が少なく、引っぱりにも弱かったと発表しました。この記事では、その研究と国内の研究をもとに、年齢による髪の弱さとの付き合い方を整理します。

この記事の結論

  • アモーレパシフィックの研究では、50歳以上のグループの新しく生えた髪は、20〜40代よりジスルフィド結合が21%以上少なく、引っぱる強さも40%以上低かったと報告されています
  • 髪の強さは「生えたあとの傷み」と「生えてくるときの頭皮・毛根の環境」の両方で決まると考えられます
  • 国内でも、40代以上の女性の頭皮は赤みがなくても炎症や酸化のしるしが高いという研究が出ています
  • 家では「こすらない・熱をかけすぎない・分け目の紫外線を防ぐ・薬剤を重ねすぎない」が基本です
  • 急に抜け毛が増えた、根元からまとまって切れるときは皮膚科へ

この記事は、毛髪診断士の松下和生(五感鷹匠)が、研究資料と店頭のカウンセリング経験をもとに書いています。

年齢で髪が切れやすくなるのはなぜ?

年齢で髪が切れやすくなる理由の一つは、髪の中の「たんぱく質どうしのつながり」が少なくなることだと考えられています。髪の大部分はケラチンというたんぱく質でできていて、その間をジスルフィド結合(シスチン結合:硫黄どうしでたんぱく質をつなぐ、はしごの横木のような結合)がつないでいます。この結合が多いほど、髪は引っぱりや曲げに強くなります。

パーマや縮毛矯正、ブリーチなどの薬剤でもこの結合は切れたり変化したりするため、これまでは「切れやすさ=傷み」と考えられがちでした。今回の研究で新しいのは、まだ薬剤や熱をあまり受けていない、生えてきたばかりの髪でも年齢による差が見られた点です。

2026年に何が発表された?アモーレパシフィックの研究

韓国の化粧品会社アモーレパシフィックは、2026年9月21日、毛髪の強さに関わる研究を国際学術誌『Experimental Dermatology』2026年9月号に発表したと公表しました。健康な成人の新しく生えた髪を調べ、年代で比べたものです。

調べたこと報告された結果(50歳以上と20〜40代の比較)
髪の中のジスルフィド結合の量50歳以上は21%以上少ない
引っぱったときの強さ(引張強度)50歳以上は40%以上低い
結合の量と強さの関係はっきりした相関あり
毛根まわりの環境COCHという遺伝子の働きが、結合の量と関連

同社はこの結果から、髪が作られる毛包(もうほう:頭皮の中で髪を作る袋状の組織)の環境が、新しい髪の強さや質に関わっていると説明しています。ただし、公開されている資料では対象の人数などの詳しい条件は確認できず、示されているのは「関連がある」というところまでです。同社が開発したペプチド原料についての話も含まれますが、この記事では特定の成分や商品はおすすめしません。

頭皮や毛根の側では何が起きている?

年齢とともに、髪を作る頭皮の環境も変わっていくことが、国内の研究でも報告されています。アリミノは2026年3月4日、20代と40代以上の女性の頭皮の角層(かくそう:皮膚のいちばん外側の層)を比べた研究を公表しました。40代以上の女性では、見た目に赤みがなくても、炎症や酸化ストレスのしるしが高かったとしています(第3回日本化粧品技術者会学術大会で発表)。

伊藤廉『大人髪のトリセツ』(KADOKAWA)でも、ハリ・コシが落ちた髪の根元を断面で見ると、本来は外側を支えている密度の高いたんぱく質の構造がくずれていたと紹介されています。同書は、こうした変化が分け目を含む頭頂部から始まりやすく、紫外線が有力な要因の一つと考えています。海外の研究と国内の観察は、どちらも「髪の弱さは毛先だけの問題ではなく、根元から始まっている」という点で重なります。

なお、ホーユーは2025年10月、髪を硬くして弾力を持たせるシスチンに注目し、ヘアカラーの施術直前に混ぜて使う補修技術を発表しています。結合の材料に目を向けたケアは、各社の研究テーマになっています。

自分の髪の弾力はどう確かめる?

毛先を少し折り曲げて手を離し、すぐ元に戻るかどうかで、おおまかな目安になります。前述の『大人髪のトリセツ』では、すぐ戻るなら髪本来の弾力が残っている状態、折れ曲がったまま戻らないなら弾力がかなり落ちている可能性がある、と紹介されています。

当店でも、40代後半から「毛先ではなく途中でプツッと切れる」「前より乾かしてもまとまらない」というご相談が増えます。履歴をうかがうと、カラーと縮毛矯正を同じ日に重ねていたり、高い温度のアイロンを毎日使っていたりと、年齢による弱さに、傷みが上乗せされていることがよくあります。

年齢で弱くなった髪に、家でできることは?

生えてくる髪の強さを家で大きく変えることはむずかしいため、「これ以上弱らせない」ことを優先します。

  1. 濡れた髪をこすらない:濡れている間は特に切れやすいので、タオルは押さえて水分を取る
  2. 早めに乾かす:濡れたまま寝ない。ドライヤーは近づけすぎず、毛先は最後に
  3. アイロンの温度を上げすぎない:同じ場所に何度も当てない
  4. とかすときは毛先から:からまりを少しずつほどき、根元から一気に引かない
  5. 分け目の紫外線を防ぐ:帽子や日傘を使い、ときどき分け目を変える
  6. 強くきつく結ばない:同じ位置で毎日きつく結ぶと、その部分に負担が集中します
  7. カラー・ブリーチ・縮毛矯正を重ねすぎない:間隔をあけ、同じ日に重ねるかどうかは美容師と相談する

傷んだ髪の内部をどこまで補えるかは傷んだ髪の内部は補修できるかを解説した記事、分け目が目立ってきたときは40代・50代の分け目が広がる原因と対策、年代ごとの髪の変化の全体像は40代からの髪質の変化・完全ガイドでまとめています。毛先ではなく途中で折れるときの原因は髪が途中で折れる4つの原因と対処法もあわせてどうぞ。

サロンでできること・できないことは?

美容室でできるのは、いまの髪の弱り方を見きわめて、これ以上負担をかけない施術とケアを選ぶことです。新しく生えてくる髪の強さを変えることはお約束できません。

できること

  • 髪の弾力・切れ毛の場所・薬剤の履歴を確かめ、年齢による変化と傷みを見分ける
  • カラーや縮毛矯正の薬剤の強さ・順番・間隔を、髪の状態に合わせて決める
  • 内部補修のトリートメントで、手ざわりやまとまりを整え、切れ毛を目立ちにくくする

できないこと

  • 生えてくる髪を強くする・太くすると保証すること
  • 抜け毛・薄毛・頭皮の病気の診断や治療、薬のおすすめ

急に抜け毛が増えた、根元に近いところでまとまって切れる、頭皮に赤みやかゆみが続くときは、美容室より先に皮膚科に相談してください。迷うときの目安は髪の悩みを美容室と皮膚科のどちらに相談するかの線引きにまとめています。

静岡市鷹匠の五感鷹匠では、毛髪診断士がカウンセリングで髪の弾力と履歴をうかがい、これ以上弱らせないための施術として毛髪復元システムもご提案しています。

よくある質問

Q. 年齢で髪が細く弱くなるのは、傷みのせいですか?

A. 傷みだけではないと考えられています。アモーレパシフィックの研究では、生えてきたばかりの髪でも、50歳以上は20〜40代よりジスルフィド結合が少なく、引っぱる強さも低かったと報告されています。年齢による変化に、カラーや熱の傷みが重なると、さらに切れやすくなります。

Q. 切れやすくなった髪は、トリートメントで元に戻りますか?

A. トリートメントで手ざわりやまとまりを整え、切れ毛を目立ちにくくすることはできますが、新しく生えてくる髪の強さそのものを変えるものではありません。こすらない・熱をかけすぎない・薬剤を重ねすぎないことを合わせて続けるのが現実的です。

Q. 髪が切れやすいとき、皮膚科に行ったほうがいいのはどんなときですか?

A. 急に抜け毛が増えた、根元に近いところでまとまって切れる、頭皮の赤みやかゆみが続くときは、皮膚科に相談してください。美容室では病気の診断や治療はできません。

参考

2026年10月20日 公開/2026年10月20日 確認

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